2011年5月 2日 (月)

超小型水耕栽培ユニットの自作

 休暇が続くと手持ちぶさたになって何かを自作しようとする癖があるのですが、今回は何か実用性がある物をつくろうということで、超小型の水耕栽培ユニットを作ることにしました。(なんで水耕栽培かって?普通のプランターだとほぼ確実に水やりを忘れて枯死させるからです笑) それで今回作成する水耕栽培ユニットは以下のコンセプトの元作成しました。一、卓上におけるサイズでインテリアとしての機能も持つこと 二、低消費電力であること 三、装置の性能は妥協しない
 これらのコンセプトから、本体は透明アクリルで作成することと、LED光源を利用した照明、培養液中の溶存酸素量を極力高くするために超小型水中ポンプを用いた強制循環、攪拌を行うことを基本仕様として決めました。大きさは机の上においても違和感の無いサイズということで横幅200 mm 縦 150mm 奥行き150 mmと成りました。
 ホームセンターに出かけて水槽用の小型水中ポンプを探していたところ、LED式の手頃なサイズの照明が特価で販売されていたので照明はそれを用いることにしました。(KOTOBUKI ECOSPOT neo 1680円) 水中ポンプは水槽用のGEXコーナーパワーフィルターF1(980円)を使いました。あとは中に植えるための小型のポットとハーブの苗、液肥を購入してきました。家に帰ってからまず光源の照射範囲を確認しそれを元に詳細な図面を描きました。途中想定より水中ポンプの出力が小さかったこともあり設計変更もいくつか行いましたが、なんとか完成させることが出来ました。
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なんとか様になっているような気がします
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上から見た状態です(やや葉が重なっていますがあまり気にしないことにします)
消費電力ですが水中ポンプ3.2W LED 2.7Wで合計6Wです

 植えたハーブは、バジル、オレンジミント、カモミール、レモンバームになります。これからの成長が楽しみです。ちょっと気がかりなのは光源の青色が強いことで青色光抑制が起こる可能性がありそうです。 光合成能力を重視するなら赤色光と青色光で十分なんですが・・・・・・・・
ちなみに植物は緑色光を使わないと言われていますが、緑色光で光合成が出来ないわけではありません。たしかにクロロフィルの吸収ピークは赤色光と青色光の付近にありますが、葉の吸収スペクトルを測定すると緑色光の部分もきちんと吸収されます。植物の葉は緑色光も利用して光合成を行っているのです。

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2011年4月24日 (日)

光電子増倍管コレクション

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私が光電子増倍管に魅せられたのは、微弱光関連の測定を行っていたときでした電源や耐衝撃性の問題からAPD(アバランシェフォトダイオード)やPINフォトダイオードを用いて測定装置を組んでいましたが、どうも上手く測定できずにいました。そこで光電子増倍管を使ったところ呆気無く測定できてしまいました。
半導体センサーでは到底到達できない圧倒的な高感度とS/Nの良さに一瞬で魅了されてしまいました。究極の光センサーと言っても良いでしょう。
しかもヘッドオンタイプの光電面の美しさと、ダイノードの緻密さもその魅力の一つです。

それでは、はじめに光電子増倍管の原理について簡単に説明したいと思います。
光電子増倍管とは光センサーの一種で光電管を派生させたものです。
本来光電管は光電面に光が入射したときに光電効果によって放出された電子を電流として検出するものですが、光電子増倍管は光電面から放出された電子を高電圧をかけることで加速します、加速された電子は一段目のダイノードに衝突します。その衝撃でさらに多くの電子が一段目のダイノードから放出されます。さらに放出された電子は二段目のダイノードに向かって加速され、衝突しさらに多くの電子を放出します。これを複数段重ねることによって大きな増幅度をえることが出来ます。

左側の3本はヘッドオンタイプと呼ばれるタイプで大きな面積の光電面を得るのに適しています。右側の4本はサイドオンタイプと呼ばれるタイプで安価で大量生産に向いているのと特性が優れています。さらに光電面の種類によって分光感度特性が異なるため検出したい光の種類によって使い分けが必要です。

このままだと製品の説明になってしまいそうですのでコレクションの説明をすることにしましょう
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これは浜松ホトニクス製 バイアルカリ光電面 R1307です 透過型光電面が美しい金色に輝いています。
ヘッドオンタイプはダイノードの精密な組み上げが見るものを虜にさせます。しかも光電子増倍管はすべて手作りで一本一本手作業で組み立てられています。ほとんどが受注生産で価格も一本数十万円です。

一番上の写真の左から3番目の光電子増倍管は極めて小さいものですが、フォトンカウンティング仕様のR647 selectは製造されたロットの中から特に性能のよいものを選別したもので一本11万円程です

右側の4本はサイドオンタイプです、すべてマルチアルカリタイプで紫外から近赤外まで高い感度を有しています
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これは浜松ホトニクス製 H6240-20 フォトンカウンティングモジュール サイドオンタイプ マルチアルカリ光電面 です。
このモジュールは高圧電源と増幅器、ディスクリミネーター、パルスシェイパー回路が内蔵されており電源さえ供給すればシングルフォトンの入射があったときにパルス信号が出力されるようになっています。このモジュールを使えば簡単にフォトンカウントを行うことが出来ます。

保管上の注意ですが

光電子増倍管に用いられている光電面は高電圧をかけていない状態でも強い光を受けると劣化するので通常時は遮光保存を行う必要があります。ヘリウムガス雰囲気下では、真空度が急速に劣化するというのもありますが一般の保管場所では問題ないでしょう

番外編
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これはγ線検出に使われるNaI(TI)シンチレーターですNaI(TI)結晶は強い潮解性をもつので密封されていますこれと光電子増倍管を組み合わせる事によってガンマー線検出及びエネルギースペクトル測定を行うことが出来ます

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2011年1月23日 (日)

番外編 神戸観光日記

去年の暮に神戸に出張してきましたのでその時にちょっと観光した場所の写真を載せていこうと思います。
まずは、明石市の天文科学館に向かいました、神戸市内からだと30分以上かかりますが風光明媚な場所です。
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明石駅から歩いて行くと科学館のタワーが見えてきます。
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やっと科学館の前までたどり着きました。
日本標準時の時計台が印象的です。
明石市立天文科学館の見所はやはり日本最古の機械式天球儀です。
入館料にプラネタリウムの入場料が含まれており一日に何度でもプラネタリウムを鑑賞することが出来ます。ここのプラネタリウムでは他のデジタル式投影機とは異なり、解説員の方がポインターと補助投影機を使いながら肉声で説明してくださいます。投影電球も1Kwのハロゲンランプを用いており温かみのある星の色を見せてくれます。
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カール・ツァイスイエナ製機械式天球儀です。
投影恒星数は9000個ですがとても魅力的な夜空を見せてくれました。
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科学館では時をテーマにした展示を行っており様々な時計が展示されていました、その他にも小惑星探査機はやぶさに関する展示や隕石の展示がありました。あと科学館に設置された太陽望遠鏡によってリアルタイムの太陽像を見ることのできる展示もあり、天文好きであればかなり楽しめます。

明石市天文科学館を後にして、次は神戸市内に戻り神戸海洋博物館に向かいました。
神戸海洋博物館は外にも展示があり入館しなくても外の展示物は見ることが出来ます。
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無人潜水探査機マリンバードです、将来的には海洋資源の自動探査を考えて設計されたそうで、これの次世代機はすでに開発されており自動海洋調査研究に使用されています。

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海中でこれに遭遇したらかなり不気味なような気がします。
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偶然港に飛鳥IIが寄稿していました(常設展示物というわけではありません笑)

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超電導推進船ヤマト1号です。実物を見るのはこれが初めてです。
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ヤマト1号は超電導推進船というカッコイイ名前が付いていますが、その速力は非常に遅かったそうです。水の噴射口を見てわかるとおり船体の大きさに対して小さいことが原因のような気がします。
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ここれがその推進装置です。ステンレス鋼のケースがなんとも言えない雰囲気を醸し出しています。
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流線型のデザインは洗練されていて素晴らしいと思います。
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0系新幹線の台車です。
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0系新幹線の頭部になります。
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運転台には自由に入って操作することが出来ます。電車好きにはたまらない展示だと思います。
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川崎重工のタンデムヘリの展示です。残念ながらコックピットに入って操作することは出来ませんが雰囲気を味わう事はできます。
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ヘリが大きすぎて全部を撮影することが出来ません。
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神戸タワーからの夜景です。
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神戸タワーから見た海洋博物館の夜景です。
この後新神戸駅から新幹線で帰りました。

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蛍光顕微鏡のファーストライトです

一日がかりで蛍光顕微鏡の調整を行いました。光学機器は電化製品などと違って、分解、組み立てを行ったあとには必ず数時間かけて光軸合わせや超高圧水銀ランプの位置調整を行う必要があります。これを行わないと本来の性能を引き出すことが出来ません。特に光軸合わせは骨の折れる作業です。今日は調整がてら金魚の水槽についていた褐色のスカムの顕微鏡観察を行いました。特に染色は行っていませんが、生体に存在する蛍光物質によってカラフルな蛍光が観察出来ます。
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藻類をV励起にて撮影(100倍対物 撮影1000倍 油浸)
赤色は葉緑体による蛍光です。細胞壁に存在する蛍光物質によって緑色の蛍光が観察出来ます。
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B励起で観察すると持っている光合成色素の種類の違いによってオレンジ色の蛍光と赤色の蛍光が観察されます。(試料に厚みがあるため全面にピントが合いません)

撮影がまだ不慣れなこともあり像がいまいちですが撮影装置側の調節も追い込んでいく予定です。

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ついに蛍光顕微鏡到着です

中国から蛍光顕微鏡が到着しました。
オリンパスやニコンの明視野顕微鏡は趣味で購入できる範囲の値段ですが、蛍光顕微鏡となると百万円を超える買い物になってしまいます。近年では大手メーカーでも最高級機以外はアジア地域でOEM生産を行っているとも聞きます。そのこともあってか中国製でもその製品レベルは高くなっています。正立顕微鏡ではほとんど問題なく使えるレベルです。蛍光顕微鏡に関しては心臓部であるダイクロイックフィルターが実績のあるオメガ社のものを利用しているとのことで今回中国製の正立、明視野、位相差、落射蛍光顕微鏡を購入しました。蛍光フィルターはUV,V,B,Gのフルオプション装備で18万円程度で購入出来ました。
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電源装置は積算時間計が付いていませんが、空冷用のファンが搭載されており長時間使用にも耐えそうです。
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